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柴田元幸さん責任編集・文芸誌「MONKEY」が20号 創刊7年、「成猿できた」

柴田元幸さん

 翻訳家の柴田元幸さんが責任編集する文芸誌「MONKEY(モンキー)」が、15日発売号で20号を迎えた。創刊から7年。柴田さん訳の翻訳小説の紹介や、ビジュアルにこだわった雑誌作りで独自の立ち位置を築いてきた。

 最新号の冒頭で柴田さんは「(成人ならぬ)成猿できたのも、創刊以来皆さんがずっと応援してくださったおかげです」とあいさつ。表紙は、昨年10月に亡くなったイラストレーター和田誠さんの作品。「探偵の一ダース」と題して、柴田さんによるコナン・ドイルの新訳や柴崎友香さん、円城塔さんらの書き下ろし短編が並ぶ。

 前身の「モンキービジネス」(ヴィレッジブックス)は2008年に創刊し、11年に15号で休刊。13年に版元をスイッチ・パブリッシングに移し、装い新たに再出発した。2、6、10月の年3回ペースで発行し、今回20号目を数えた。

 スイッチ・パブリッシングの新井敏記社長は「単行本にするための原稿を載せる、いわゆる“ゲラ雑誌”とは一線を画す文芸誌を目指してきた」。旅雑誌「Coyote(コヨーテ)」なども発行する同社。写真や挿絵にもこだわったオールカラーの誌面で一定数のファンの心をつかみ、文芸誌としては異例の発行部数3万部を維持してきた。

 「20冊積み上げた、というよりは1号1号を常に最終号のようにつくってきた」と柴田さん。「自分が楽しめる力が衰えないよう、遊ぶ時間、充電の時間を大事にしていきたい」(板垣麻衣子)=朝日新聞2020年2月19日掲載