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しみずだいすけさんの絵本「あかまる どれかな?」 0歳から楽しめるゆびさしクイズは間違えても大丈夫!

文:日下淳子、写真:北原千恵美

赤ちゃんに色や形を問う知育絵本

――赤い丸に2つの目。真っ白な背景にシンプルに描かれた「あかまる」がページごとに散りばめられている『あかまる どれかな?』(ポプラ社)。ときには緑だったり、星の形になったり、数が増えたり。「おおきいの どっち?」「あかまると同じ色はどれかな?」と大人がクイズを出して、色や形について声かけをしていく知育絵本である。しみずだいすけさんが描くシンプルな絵は、視力の弱い赤ちゃんにもわかりやすく、キョロキョロしたりウインクしたりする表情は、かわいらしさも感じさせる。

『あかまる どれかな?』(ポプラ社)より

 長女が7、8カ月のときに、子どもと一緒にやりとりできる本が何かできないかなと思ったのが、この本を考えたきっかけです。はじめて企画を出したときは、もっと背景を描きこんだり、いろんな色を使ったものを考えていました。パレットの絵の具の形が車や羊になっていたり、色がカラフルな方が楽しいかなと単純に思っていたんです。でも、0歳、1歳の発達に合ったものを考えたとき、やわらかいパステル色よりもハッキリした色の方がわかりやすいし、黄緑と緑の区別は難しいから、色は絞ったほうがいい、と編集さんと話し合って、どんどんシンプルになっていきました。かわいらしさを残しつつ、赤ちゃんがよく反応してくれる本になっていると思います。

子どもが何かを見つけるきっかけを

――子どもに「どれ?」と聞いて、正確に答えてくれれば、親も嬉しさを感じるだろう。しかし、しみずさんは、単純に色の概念を教えたり、数を覚えさせたりするためだけに作った本ではないと言う。赤い丸は、色で聞けば赤だけれど、形で聞けば丸。大きさや数など、一つのものでも捉え方は様々である。いろんな質問での大人とのやりとりは、赤ちゃんにとって発見の連続。最初は間違ったとしても、自分で考えて答えてみるというやりとりこそが、地頭を育てていくという。

 0歳の子にこの本を読んで、「赤色はどれかな?」と聞いても、うまく反応してくれないことはよくあります。もし違うところを指しても、否定する必要はないと思うんですよ。「〇〇ちゃんは青が好きなんだね」「その緑は、母さんが今日着てる服の色だね!」と話しかけたりして、反応に対して楽しくやりとりするだけでいいと思うんです。最初は理解してくれなかった子どもが、そのうちに丸を指せるようになり、ちゃんと赤い丸を指せるようになり、そのうち言葉で教えてくれるようにもなっていきます。そういう成長が、親にとって嬉しかったというお話も聞きました。

 『あかまる どれかな?』は、読み聞かせやワークショップもやっているんですが、年齢に関係なく、この本はいろんな子がいろんな遊び方をするのでとても楽しいです。丸をみんなブドウやリンゴなどの果物に見立てて話す子もいれば、丸の数を全部数えて教えてくれる子、小さい丸は小さな声で、大きな丸は大きな声で読みきかせてくれる子もいます。絵本ではページの右下に、大人へのヒントとして、色が違うのはどれかとか、寝ているのはどれかとか、質問のバリエーションを書いているんですが、子どもは本当に大人の発想を超えたものを見つけてきますよ。

 色や形から、少し広がった概念に興味が湧いてきた子のために、『あかまる いくつ?』という続編も作りました。数をわかりやすく聞いたり、長さや太さという概念も取り入れています。三角は2つ、四角は4つ、全部で6つ……とか、シンプルだけど、けっこう頭を使うんですよ。お父さん、お母さんとやりとりしながら、自然に興味を持ってくれたらと思っています。

 絵本として書いてあることを大人が質問していって終わりじゃなく、子どもが何かを見つけるきっかけを、この絵本で作ってあげられたらと思っています。親は順番に聞いているのに、子どもは三角だけに注目していたりと、親の質問とは違うところに興味をもつことも。それはそれでおもしろいですよね。自分で試しながら、いろんなことを吸収していってくれたらと思います。

 絵本の枠を飛び出して、あかまるたちを自由に動かせる『あかまる ぺたっ!』というあそび絵本も制作しました。様々な色や形のマグネットが30枚入っていて、子どもはオリジナルのルールで遊んでいます。ただマグネットを並べるのでなく、マグネットの上にさらにマグネットを積み重ねて楽しんだり、シートからはみ出して太陽の形を作ったり、そんな遊び方があるのかと子どもに教えられることも多いですね。

――普段はデザイナーとしても、多彩なお仕事をしているしみずさん。子育ての経験やワークショップでの子どもの生の反応を活かしながら、子どもとコミュニケーションを取れる作品作りに取り組んでいる。

 あかまるシリーズのように、ものの見方が変わったり、いろんな発見ができる絵本は、これからも作っていきたいなと思います。子どもと一緒に考えたり、お父さんお母さんにとっても気づきになるようなものが理想です。子育てをしながら、デザイナーやイラストレーターとして様々な仕事をしているので、そういうスキルも活かしつつ、いろんなアプローチをしていきたいと思っています。次は絵本でなく、たとえばカードゲームのようなものかもしれませんし、そういう自由な発想で、何か親子に喜んでもらえるものが作れたらなあと思っています。