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400年前の生の日本語がわかる! 希少な「日葡辞書」高精細カラー印刷で再現

 1603~04年にかけて、金属活字印刷物として長崎で刊行されたキリシタン版の『日葡(にっぽ)辞書』。2年前にブラジルの国立図書館で見つかった世界で5冊目となる同書を高精細カラー印刷で再現した『リオ・デ・ジャネイロ国立図書館蔵 日葡辞書』(エリザ・タシロ、白井純編、八木書店)が刊行された。

 同書は、様々な階層の日本人の告白などを理解するため、イエズス会が刊行したもので、アルファベット順に並ぶ見出しの日本語は約3万2千。そこにポルトガル語で注釈が付されている。Vofuru(お古)のような女性語から、文書語や仏教語、Fiyori(日和)とTenqi(天気)といった同義語、さらには「太平記」などからの引用や説明も。すべての日本語がローマ字で記載されている点も重要で、室町時代末期の日本語の標準音を知ることもできる。

 これまでにパリ国立図書館所蔵本など計4冊が確認されているが、単語によって記述に違いがあり、今回の復刻ではそれらを対照した画像と考察も収録した。鮮明なカラー画像で約400年前の生の日本語に触れることのできる、貴重な資料と言えそうだ。B5変形判、税込み6万6千円。(編集委員・宮代栄一)=朝日新聞2020年6月10日掲載