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絵本の世界に入り込む「PLAY! MUSEUM」が東京・立川にオープン

文:坂田未希子、写真:斉藤順子

企画展のオープニングを飾るのはtupera tupera

 自由な発想でアートを体感する「PLAY! MUSEUM」。1階は展示スペースとカフェ、ミュージアムショップ、2階には屋内広場「PLAY! PARK」があり、親子で1日楽しめる。入り口には、大きな「PLAY」の文字が無造作に置かれ、エントランスにはロッカーやトイレのサインが描かれたバケツがぶら下がるなど、随所に遊び心が感じられる。「どこから夢の中(絵本の世界)に入ったかわからないように」と行き止まりのない空間になっているのも面白い。

 企画展のオープニングは「tupera tuperaのかおてん.」(12月29日まで)。観て終わるのではなく、体験し、家に帰ってからも続きがある展覧会にしたい。そんなアイディアを一緒に作っていける、「PLAY!」にふさわしいアーティストとして選ばれたのが、絵本作家としても活躍するクリエイティブ・ユニットtupera tuperaだ。

>tupera tuperaの絵本「しろくまのパンツ」インタビュー 読み手が作品を進化させる

 展覧会のテーマは、tupera tuperaの作品づくりに欠かせないモチーフである「顔」。代表作『かおノート』をはじめ、『こわめっこしましょ』『あかちゃん』など、顔を題材にした絵本の原画の紹介のほか、初めて挑戦したという映像作品『かおつくリズム』、2メートルの大きな顔から鼻息も感じられる『かお10(テン)』など、さまざまに表現された「顔」が並ぶ。来場者も「かおシール」で変身し、作品の一部になれるのも楽しい。笑った顔、怒った顔、悲しい顔、赤ちゃんの顔、お年寄りの顔。一人一人みんな違って、人柄や個性がにじみ出る。そんな「顔」の面白さを再発見できる場だ。

 来場者が参加しながら楽しみ方を見つけていく企画展に対し、常設展では、著名な絵本作家の人となりや、作品、制作技法など、広く学ぶことができる。オープニングは「エリック・カール 遊ぶための本」(2021年3月28日まで)を開催。世界的なベストセラー絵本『はらぺこあおむし』をはじめ、エリック・カールが得意とする五感で楽しめる仕掛け絵本を新しい視点で紹介している。

自由に走り回って遊べる空間も

 2階の屋内広場「PLAY! PARK」の見所は、空間の大部分を占める「大きなお皿」。直径22mのお皿型のスペースは、子どもたちが自由に走り回って遊べる空間だ。24カ月未満の子ども向けに、「小さなお皿」も用意されているのがうれしい。「大きなお皿」の周りには、材料や工具を使ってものづくりができる「ファクトリー」、国内外の絵本を読むことができる「ライブラリー」など、思い思いに遊べるブースもあり、1日では遊びきれない楽しみが詰まっている。

 当初は、2020年4月10日に開業予定だった「PLAY! MUSEUM」。新型コロナウイルス感染症拡大防止の影響を受け、2カ月遅れのオープンとなったが、新型コロナ対策として、入場制限、オンライン決済のファストパスチケットを導入するなど、「安心・ゆったり」の取り組みを推進していくとしている。体験型の作品はなるべく手を触れずに想像して楽しむ、大型遊具を使った遊びのプログラムはしばらくの間は中止するなど、当初予定されていた「PLAY! MUSEUM」ならでは楽しみ方はできないが、その中でどんなことができるか、日々、スタッフが遊びを追求している。

 「今後しばらく、遠くに行きづらい環境が続く中、近くにある美術館の存在意義が大きくなっていくのではないかと思っています。『PLAY! MUSEUM』は、地元の中に溶け込んでいける場所、大人から子どもまで誰でも楽しめる、みんなのための場所にしていきたい。『絵とことば』をテーマに、ファインアートではないところを入り口にして、アートの持つ魅力の奥に踏み込んでいくきっかけになるような美術館でありたいと思います」(PLAY!プロデューサー・ブルーシープ代表・草刈大介)

内覧会に参加したtupera tupera

 「いつもであれば、日本中、世界中の人に来てください!と大声で叫びたい展覧会であり、ミュージアムなのですが、コロナ禍の中、どこまで自分が声をかけていいかモヤモヤする気持ちもあります。でも、こういう時期だからこそ、気持ちを健やかにするために、ここに来て、みなさんが元気な気持ちになって帰ってくれる場所になればいいなと思っています」(tupera tupera 中川敦子)