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「グルーヴ!」書評 クラシックに“黒人音楽のノリ”応用

評者: いとうせいこう / 朝⽇新聞掲載:2020年07月11日
グルーヴ! 「心地よい」演奏の秘密 著者:堀米ゆず子 出版社:春秋社 ジャンル:芸術・アート

ISBN: 9784393935002
発売⽇: 2020/05/26
サイズ: 19cm/398p

クラシック音楽に「グルーヴ」は存在するのか? 感動や快感を生み出す「心地よさ」の正体とは? 演奏の第一線で活躍する10人が、それぞれの言葉で自らの演奏や聴取体験の「グルー…

グルーヴ! 「心地よい」演奏の秘密 [著]堀米ゆず子、鈴木学ほか [編]山田陽一

 編者はクラシック演奏者や指揮者と「グルーヴ」について次々に対談する。
 そもそも「グルーヴ」は黒人音楽のノリを語る言葉であり、それがまさかクラシックに応用出来るとは想像もしていなかったが、これが驚くことにヴァイオリニストにもティンパニ奏者にもコントラバスやヴィオラのプレーヤーにも感じられていた。発見である。
 そこにはファンキーな音楽同様に「ずれ」が機能し、それでいて反復していることの快楽、また響きの効果につながっていることが、前作『響きあう身体』でも精緻な分析をした編者の巧みな誘導でわかる。
 言われれば納得するが、オーケストラにおいては遠くの楽器の生音が遅れて聞こえているわけで、それでも全体が有機的に〝鳴る〟としたら、機械でぴったりに合わせたのでない「グルーヴ」なしにクラシックは考えられない。
 そのノリの考察は会社や学校やチームを考えるのにも確実に役立つだろう。