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映画「ぐらんぶる」W主演の竜星涼さん&犬飼貴丈さんインタビュー おバカな男たちの熱い青春ストーリー

文:根津香菜子、写真:篠塚ようこ

かっこいい映画のはずが・・・

――人気漫画の実写化ということでプレッシャーもあったかと思いますが、オファーを聞いた時の率直な感想から教えてください。

竜星涼(以下、竜星): 僕はこのお話をいただくまで原作を知らなかったのですが、英(勉)監督から「大学生のバディもので、ダイビングもあって笑いもある、新しい映画をやっていこうと思っている」というお話を聞いて「それはかっこいいですね」という思いで撮影をスタートしたんです。なのに、まさかこんな中身になるとは……。「ちょっと、だまされたな」っていう感覚でしたね(笑)。でも、原作を読むうちに原作ファンの皆さんが『ぐらんぶる』のどんなところが好きなのか、実写化した時に何を求めているのだろうかという事が分かるようになって、いつの間にか僕自身もファンになっていました。その中で服を着ないということは必要不可欠だと思ったので、実写化するからにはそこも満足してもらえたらと思いました。

©井上堅二・吉岡公威/講談社 ©2020 映画『ぐらんぶる』製作委員会

犬飼貴丈(以下、犬飼):僕は元々漫画が好きなので、原作は知っていました。色々なアニメや漫画が実写化していく中で、内容的に「これは実写化が厳しそうだな、できないだろうな」と思っていた作品の一つだったので、お話を聞いた時は率直に驚きましたね。僕は水が苦手だったので、現場に入るまでダイビングシーンだけが心配でした。耕平は何でもさっとスマートに出来てしまう設定だったので、自分もそういう風にできなきゃいけないと思い、最初の頃は頭の中が真っ白でした。でも、撮影前にダイビングの練習時間を設けていただいたので、沖縄での撮影あたりからは海のキレイさを楽しむ余裕も出てきました。この作品を通して、苦手だった水を克服できてよかったと思います。

――お二人は今回が初めての共演とのことですが、お互いの印象はいかがですか。

竜星:犬飼君は礼儀正しくて、仲良くなっても程よい距離感を保ってくれるんです。彼とは本作を通していいバディ、相棒になれたし、ものすごく楽しい夏を一緒に過ごすことができました。

犬飼:僕は最初、竜星さんってクールでちょっと話しかけにくいのかなと思っていたんです。でも、実際にお会いしてみるとそんなことはなくて、フランクに接してくださったので、現場でも楽しく過ごさせていただきました。役者の先輩として色々勉強もさせてもらったし、尊敬する先輩になりました。

「愛すべきバカ」なキャラクター

――伊織と耕平は、見ているとどんどん好きになっていく魅力的なキャラクターでしたが、お二人が演じた役でそれぞれ好きな部分や共通点があれば教えてください。

竜星:基本的に伊織は色々なことに巻き込まれていくという役どころなのですが、僕自身も「ぐらんぶる」という映画に巻き込まれた感があるので(笑)、そこは彼とリンクするなと思います。置かれている今の状況をただただ楽しむしかないという感覚で、そんなところを自分と重ねながら演じていました。

犬飼:伊織も耕平も「何でそうなるのか」とか「何でそういう風に考えるんだ」とか、二人の行動や思考がものすごくアホ過ぎて、一周回って愛おしくなったというか、憎めないキャラクターになっているんですよね。そんな二人を「愛すべきバカ」みたいに感じながら、楽しく演じさせていただきました。

――「バモス!」の合い言葉をきっかけに、突如野球拳が始まったり、ほぼ裸のままトランポリンを飛んだりと、色々とカオスな状態で物語が進む中、ダイビングサークル「ピーカブー」の先輩が伊織に「やりたいかやりたくないかの答えに、できる、できないで答えるのは間違っている」と、急にいいことを言うんですよね(笑)。お二人が印象に残っているセリフはありますか?

犬飼:ずっとふざけているからこそ、そういうセリフでハッとさせられる、ということがこの作品にはあると思います。僕は試写を見終わった時、全体的にすごくバカなんだけど、男の熱い思いを語るような青春っぽいシーンもあって、ちょっとノスタルジックな部分もある作品だなと思いました。例えば、今楽しくない人や落ち込んでいる人が見ても楽しめる。それくらいポジティブなエネルギーに満ち溢れている作品になったなと思っています。

竜星:僕はずっとダイビングをやってみたいという気持ちがあったので、作品の中で伊織たちが言っているように「まだ見たことのない世界」を作品の中で見させてもらったという気持ちがあります。それはダイビングもそうですし、こんな型破りの青春コメディ作品に挑戦させてもらったことで、新しい、楽しい世界を見ることができました。今は大変な時期ではありますが、そんなことを吹き飛ばしてくれるような明るく元気で、笑いで包み込んでくれるような作品になったと思います。

©井上堅二・吉岡公威/講談社 ©2020 映画『ぐらんぶる』製作委員会

――今作はお二人にとっても「新しい世界」になったんですね。そこに飛び込んでみて、何か見えたものはありますか?

犬飼:男の裸ですね。

竜星:うまい!(笑)

――その「ほぼ裸の男たち」に囲まれた感想は?

犬飼:「一体僕はここで何をしているんだろう?」と自問自答する瞬間が、撮影中に何回もあったんです。その度に自分にかけた魔法をかけ直して、トランス状態に持っていくようなことはありました。

竜星:やっぱり、非常にむさくるしいんですよね。ダンスシーンでも男だらけでやっていると、本当にカオスな状態になりまして。そこに女性のキャストが一人でも二人でもいるとやる気が出るというか、テンションが上がりました。

犬飼:確かに。

竜星:そういう意味でも学生ノリな映画だなと思うし、そんな気持ちになったことが、ちょっと懐かしくもありましたね。

実写化してほしい「鬼滅の刃」

――実写化は無謀と思われた本作への出演を経て、今後実写化したら出てみたい作品や役はありますか?

犬飼:『鬼滅の刃』ですね。自分の年齢的なこととか色々加味して演じたいのは、冨岡義勇(ぎゆう)です。好きなキャラクターという事もあるんですけど、ビジュアルも含めて自分が俳優として入れるとしたらそこかなと。

竜星:主役(竈門炭治郎)やりなよ~!

犬飼:でも、義勇はめちゃめちゃおいしい役なんですよ!

――竜星さんはいかがでしょう。

竜星:僕は自分が好きな作品だと「これ好きだからやってみたかったんだよな」って思うこともあるんですけど、反対に好きだからこそ「実写化してほしくない」っていう気持ちが出てしまうこともあるので、自分があまり知らない作品を実写化する方が仕事として役にすっと入れるんじゃないかと思います。

――お二人の読書ライフについても教えてください。竜星さんは最近どんな本を読まれましたか?

竜星:僕は趣味で本を読むというより、仕事に関連する作品を読むことが多いので、仕事から知る作品が多いです。今出演している舞台「大地(Social Distancing Version)」の中にシェイクスピアの話が割と出てくるので『シェイクスピア全集』を何冊か買いました。それまではあまりシェイクスピアを読んだことがなかったのですが、『ウィンザーの陽気な女房たち』という話は面白い作品でした。

――犬飼さんは大の漫画好きだそうですね。

犬飼:僕は読書というとほとんど漫画ばっかりで、小説は何を読んでいたんだろうかと思い返すと、昔読んでいた『星新一ショートショートセレクション』が一番思い出に残っています。それ以外は、圧倒的に漫画が多いんですよ。少女漫画も有名なものは読んだことがありますが、今も少年漫画ばかり読んでいます。