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「シンプルなクローゼットが地球を救う」書評 環境へ配慮 自分の服で具体策

評者: 押切もえ / 朝⽇新聞掲載:2020年09月05日
シンプルなクローゼットが地球を救う ファッション革命実践ガイド 著者:エリザベス・L・クライン 出版社:春秋社 ジャンル:ファッション

ISBN: 9784393333761
発売⽇: 2020/06/25
サイズ: 19cm/261p

毎日の服選びが、自分と世界を変えてゆく。「ファストファッション」で衣類の大量生産・廃棄の現状を取材した著者が、必要な服だけ残す方法、リセールや修理のコツから、社会的アクシ…

シンプルなクローゼットが地球を救う ファッション革命実践ガイド [著]エリザベス・L・クライン

 レジ袋有料化やプラスチックストロー廃止が実施される中、環境問題について考える機会が多くなった。ファッション業界でも、「サステイナブル(持続可能な)」という言葉が浸透し、生産過程において人や環境、動物に配慮したブランドが増えている。
 私自身も、天然資源を用いて作られた軽くておしゃれなエコレザーバッグを使い、再生生地をあしらった洋服を着るようになった。ただ、全ての服にそういった理念や工程が表現されているわけではないのが現実である。
 本書の筆者は、ファッション業界が環境や社会に及ぼす良くない影響を挙げ、この状況を変えるには、まず自分の身に着けるものから変えていくべきだと訴える。そのための具体策として、不要な服をリサイクルして賢く処分する方法や、余計なものを購入しない提案、古着やレンタルを活かす手段、愛用品を手入れする技術などを細かく紹介している。また、着ない服を捨ててゴミを増やすのではなく、リセールや交換会を利用することも勧める。
 ファッションの仕事を長くしている私だが、様々な生地が作られる経緯について知らなかったことも多かった。たとえば、なじみの深いコットン。栽培の際には大量の水と毒性の高い殺虫剤が使われるという。それを知ってさらに、多少高価になっても、肌や環境にも優しく、長持ちするオーガニックコットンの作り手を応援したくなった。
 外出自粛期間に入った時、まずクローゼットの整理をしたが、本書を読んでから、さらに自分の服への向き合い方が変わった。大切な服にはさらに愛情が湧き、買う際には必ず素材の確認をし、縫製は頑丈か、飽きのこないスタイリッシュなデザインか、長年自分の一部として愛せるのか……と何度も自身に問う。地球と社会のために、まずクローゼットの中から変えていく。できることをして、明るい未来に期待したい。
    ◇
Elizabeth L.Cline 米国のジャーナリスト、講演者。著書に『ファストファッション』など。

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