東日本大震災が起きた10年前、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』からつくられた同名の朗読劇が今年、脚本も新たに、映像作品となってオンラインで無料公開されている。
福島出身の小説家古川日出男さんが脚本を書き、詩人の管啓次郎さん、音楽家の小島ケイタニーラブさん、翻訳家の柴田元幸さんらが出演。朗読劇はこれまで、東北をはじめ全国各地で、形を変えつつ上演を続けてきた。
だが、震災10年目はコロナ禍のまっただ中で迎えることに。古川さんは「コロナ時代の銀河」と題して新しく脚本を書き下ろした。
近くの人たちはすぐみちを開いてそして子供たちのために祈って呉れました。けれどもそこからボートまでのところにはまだまだ小さな子どもたちや親たちやなんか居て、とても押しのける勇気がなかったのです宮沢賢治『銀河鉄道の夜』から
何度も繰り返される言葉が震災の犠牲を連想させ、マスクや、距離を置いて向き合う朗読の配置が時代を映す。
まだ4都県が緊急事態宣言下にあった3月11日に公開された。作品はユーチューブで「コロナ時代の銀河」と検索すると見られる。(興野優平)=朝日新聞2021年3月24日掲載