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斎藤茂吉の直筆の日記28冊が山形で公開中 芥川龍之介を診断した記録も

芥川龍之介を神経衰弱などと診断した日の日記=山形県上山市の斎藤茂吉記念館

 歌人・斎藤茂吉(1882~1953)の日記帳全28冊が、出身地の山形県上山市の斎藤茂吉記念館で展示されている。

 昨年11月、茂吉の次男で作家、故・北杜夫(本名・斎藤宗吉)の東京都世田谷区内の遺族宅から見つかった。精神科医だった茂吉が医学研究で渡欧した留学先から帰国する間際の1924(大正13)年から、52(昭和27)年にかけての日記帳28冊が段ボール3箱に分けて保管されていた。

 日記帳は表紙が革製や布製の新書判程度のものが多く、万年筆や細い毛筆で書かれたとみられる。内容は「斎藤茂吉全集」(岩波書店刊)にすでに収録されている。

 例えば26年1月13日の日記では、茂吉が芥川龍之介を診断し、〈神経衰弱ト胃病トガアル。イロイロノ「内憂外患」トガアルト云ツテ弱ツテヰタ〉などと記した。茂吉の短歌を絶賛し、歌壇に押し上げるきっかけを作ったのが芥川だったが、翌年、遺書に「将来に対する唯(ただ)ぼんやりした不安」と書いて服毒死した。

 「日記と歌で辿(たど)る斎藤茂吉の素顔」と題した特別展で8月31日まで展示される。秋葉四郎館長(83)は「日記帳は茂吉研究に多くの示唆を与える資料。その時々の書体から見えてくる茂吉の心境の変化や息づかいを感じていただきたい」と話している (辻岡大助)=朝日新聞2021年5月12日掲載