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雑誌「短歌研究」、初の重版 300歌人が「ディスタンス」を詠む

「短歌研究」5月号

 短歌研究社が発行する月刊の短歌総合誌「短歌研究」5月号が1932(昭和7)年の創刊以来、初めての重版となり、話題を呼んでいる。300人の歌人が「ディスタンス」というテーマで詠んだ新作7首ずつを一挙掲載した号で、初刷り4千部に500部を増刷。6月号発売後の24日、さらに3刷が決定し、計5500部になった。

 「一冊丸ごと、短歌作品。性別や年齢では括(くく)りません」と表紙でうたう。巻頭に馬場あき子さんの新作30首を据えた後は、作者の50音順で作品を載せている。

 一昨年までは3月号に女性歌人特集を、主に5月号に男性歌人特集をそれぞれ100~140人規模で組んでいたが、昨年から性別で分けることをやめ、5月号の特集に一本化した。昨年は280人の歌人が作品を寄稿。今年は300人の大台に乗せた。うちベテラン勢を中心に74人はエッセーも寄せている。

 国兼秀二編集長は「これまでにない規模で歌人が一つの雑誌に集まり、コロナ禍のいまを詠んでいることへの関心が高く、『初めて短歌雑誌を買った』という声も聞く。性別や年齢の括りをなくしたことへの支持も大きい」と話す。(佐々波幸子)=朝日新聞2021年5月26日掲載