『進撃の巨人』の単行本には、ほとんどの巻末に、次巻の内容予告に見せかけた「ニセ広告」が2ページ描かれています。すべて諫山さんの描き下ろしで、シリアスな本編とは打って変わって、エレンやミカサ、アルミンらが学園コメディーや「ドラえもん」を思わせるストーリーを演じる、遊び心満載のおまけページです。
「進撃の巨人」担当編集者の川窪慎太郎さんによれば、第2巻で単行本のページ数調整用に諫山さんが描いたのが始まり。漫画の人気上昇に伴って定番化し、巻末のおまけにもファンが注目し始めたことで、連載ストーリー化するなど凝ったものになっていきました。
「諫山さんはギャグやパロディーがお好きな方なので、シリアスゆえに制約も多い本編から外れて、やりたいことを楽しんでいたようです。ただ、本編同様、ネタや構成を考えなければならず『やらなければよかった』と悔やんでいたこともありました(笑)」
最終刊の新聞広告は、複数案の中から、諫山さん本人の意向で「ニセ"ニセ広告"」が採用されました。ライトノベルで定番となりつつある、ある日突然別の世界に生まれ変わる「異世界転生」をモチーフにするなど、「おそらく『進撃の巨人』からいちばんかけ離れたネタを諫山さんが選んだ」(川窪さん)とのこと。
「読者に支えられて成長した、会社としても代表的な作品。最後なので派手に盛り上げたい」と宣伝担当の田幸志朗さん。ちなみに第34巻の巻末には、最後の「ニセ広告」として、進撃キャラがシュールな学園ドタバタ劇で暴れ回る「進撃のスクールカースト」シリーズの完結編も掲載されています。