第52回大宅壮一ノンフィクション賞の贈呈式が6月23日、東京都内であった。『女帝 小池百合子』(文芸春秋)で受賞したノンフィクション作家の石井妙子さんは、「覚悟を決めて書くべきことを書きたいと思った」と話した。
受賞作は、小池百合子都知事の素顔に迫るノンフィクション。昨年、都知事選を控えての刊行は大きな話題を呼んだ。
「どういう表現で書くべきか、とても悩んだ」というが、「ノンフィクションは人間を書くのが本来の目的。批判を恐れて抑えた表現に逃げると、それが果たせなくなってしまう」と、批判を受けることも覚悟の上で書いたと話した。
書いているうちに見えてきたのは、小池氏を支持してきた社会のありようだったという。
「彼女を通して、彼女を生み出した時代と社会を改めて見つめ直したかった。小池百合子さんという人は、私たちがつくり出したと考えている」(興野優平)=朝日新聞2021年7月14日掲載