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益田ミリさん原作のドラマ「僕の姉ちゃん」出演の杉野遥亮さんインタビュー 理想のきょうだい関係は

杉野遥亮さん

自然でかつ、クスっと笑える会話に

――原作は、雑誌「anan」(マガジンハウス)で長期連載中の作品ですが、読んだ感想を教えてください。

 やっぱり、姉と弟の何気ない会話をユーモラスに描いているところが面白いですよね。どうやってこの会話を思いついて、この会話をどんな漫画にしようと思われていたのかなって思いました。それを僕たちが演じる時に、どういう風に姉弟の空気感を再現していくのかというのは難しいところでしたね。

――杉野さんは順平をどんな人物と捉えましたか?

 23歳という順平の年齢の頃って、自分の軸というのはまだそんなに確立しきっておらず、色々なものを見たり聞いたりして自分の中に取り入れていく時期だと思うんです。僕も順平と年が近いのですが、自分の中で「これ」という軸をまだ定めきれず、ブレたり分からなくなったりするところはすごく理解できたし、少し前の自分に似ているなと思いました。順平はピュアなので、今はスポンジのように色々なものを吸収しているんだなと思いました。

©テレビ東京

――ちはると順平の会話が大きなポイントになっていると思いますが、演じる上でこだわったところや気をつけたところはありますか?

 僕もまだ完成作を見ていないのですが、姉ちゃんと順平の会話って、ツッコミとボケのようで、一見コントになりそうじゃないですか。でもこれは自然な会話の流れで出てくるものだから、相手との距離感を意識しながら自然と出てきて、クスっと笑える何かにしないとなと思っていました。

――原作のちはるのセリフには、クスッと笑えるものから、「あんたってどこまでも月並みだわねぇ」といったちょっと辛辣なものもありますが、特に杉野さんが印象に残っている“名言”はありますか?

 姉ちゃんの言うことは毎回インパクトがありすぎて、「あ、そうくるか」と毎度毎度思っていたんですけど、姉ちゃんが順平のことをちゃんと思っていてくれたんだなと思ったのが、3話に出てくる「あんたの良いところは別にあんたが知らなくてもいいんじゃない。私も知っているし」というセリフです。何気ない会話の中で何気なく姉ちゃんが言ってくれるのですが、きっと直接弟に言うのは恥ずかしいだろうに、わざわざそういう言葉で伝えてくれたことが、心が温かくなってすごく響きました。

©テレビ東京

――もし杉野さんに姉がいたと想像したら、どんな人がいいですか?

 一緒にバカできる人かな。それこそ、ちはると順平の関係って理想です。でも、僕は助けてもらうだけではなく「相手を助けたい」とも思うから、自分の本音を話せる場所としていてくれる姉ちゃんと、自分もそんな姉ちゃんを助けられる弟でいられる関係が理想です。

自分と向き合える23歳は素晴らしい

――杉野さんには弟さんがいらっしゃいますが、実生活でも「頼り頼られ」 といった関係性なのですか。

 このドラマを撮った後に、「夜への長い旅路」という舞台に出演させていただいたんですけど、それが家族の話だったんです。その時に家族と向き合うことって大事だなと改めて思いました。兄弟について考え直した時に、やっぱり僕はお兄ちゃんでいたいっていう気持ちがどこかにあるんです。経験値や知っていることは弟よりも多いけど、 そこで変にプライドや意地を張っている部分は今もまだあるなと思っていて。だけど、自分の弱いところも弟にちゃんと話せて、理解し合える。そんな関係になれたらいいなと思っています。

――女心に疎く、よく姉ちゃんから突っ込まれている順平ですが、杉野さんが何かアドバイスをするとしたらどんな言葉をかけてあげたいですか。

 僕は順平のことをステキだなって思います。毎日自分が感じたことや、相手に「こう思われたんじゃないか」ということをちゃんと自分自身で見つめたり、それを姉ちゃんに話したりして「そういう時間を取れているあなたは、23歳にして素晴らしいぞ!」って思います。

ヘアメイク:Emiy、スタイリスト:Lim Lean Lee、Nanushka(洋服)、Gianvito Rossi (靴)

――今回は漫画が原作でしたが、ふだんはどんな本を読んでいるのですか?

 小さい頃、サンタさんに『世界地理百科大辞典』(講談社)をお願いしました。 地理が好きで、こんなところにこんな国があるのかとかを知るのが好きだったんです。あまり色々な本に手を出すタイプではなくて、漫画も『金色のガッシュ‼』(小学館)や『ONE PIECE』(集英社)など、昔から好きな作品を繰り返し読んでいます。大学生の時は『君の膵臓をたべたい』(双葉社)を号泣しながら読んでいた覚えがあります。

――実写化したら出演してみたい作品はありますか。

 デビューしたての頃に住んでいた街の駅にある本屋さんにたまたま寄ったとき、何気なく目に入たのが、窪美澄さんの『よるのふくらみ』(新潮社)でした。何となく気になって読んでみたら、すごく面白かったんです。同じ商店街で育った幼なじみの女の子と兄弟の話なのですが、読んだ時は弟を演じてみたいと思いました。お兄ちゃんは自分より年齢が上だったので、物事の考え方や価値観というものが当時の自分に落ちてくる感じがしなかったんです。その分、弟とは年齢が近かったこともあり、自分と感覚が似ていたから、「この人の気持ち分かるな」と思いました。

 あとこの間、村上春樹さん原作の映画「ドライブ・マイ・カー」の予告編を見た時に、「なんか音楽みたいな芸術だな、すごいな」と思ったんです。それから、村上さんの作品は気になっています。以前、知り合いのプロデューサーさんに「遥亮は村上春樹さんの原作に出てきそうだよな」と言っていただいたことがあって、自分にはまだまだだなと思いつつ、いつか出演できるように今度読んでみようと思っています。