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女性弁護士だって、いろいろ 「倒産続きの彼女」新川帆立さんインタビュー

新川帆立さん=2021年10月1日、東京都千代田区、興野優平撮影

 昨年の「このミステリーがすごい!」大賞に輝いた新川帆立(ほたて)さんのデビュー作『元彼の遺言状』(宝島社)は刊行から約2カ月後に20万部を突破する人気ぶりだった。この秋に刊行された続編『倒産続きの彼女』(同)と合わせると、文庫版も含めたシリーズ累計は50万部を超える。

 「強くて優しいヒロインを書きたかった。性格はちがっても、1作目も2作目も、そういう意味では変わっていないと思います」と新川さん。『元彼』ではやり手の弁護士、剣持麗子がヒロインだ。一方、続編『倒産続きの彼女』のヒロインは、剣持と同じ事務所の後輩弁護士、美馬玉子。「そばにいると自分がみじめに思える」と剣持をうとましく感じる、前作とは対照的な主人公。一見、出会いを求めるぶりっこだが、温かく力強い芯があると徐々に伝わってくる。

 1991年生まれの新川さん自身、元弁護士だ。「女性の弁護士というと、世間ではきりっとした怖い人のように思われがちだけれど、実際は色々な人がいると紹介したかった」

 もともと本を読むのが好きだった。16歳のころ、夏目漱石を読んでそのユーモアにひかれ、小説家を志した。だが、執筆を始めたのは10年後。まずは手に職を、と弁護士になったものの、多忙を極め、体調をくずして休養。初心に立ち返り、小説を書き始めた時は26歳になっていた。

 「自分に文才はない」と感じながらも、作家デビューを悲観はしていなかったという。「私は分解して考える癖がある。目標に対して何をすればいいか、道筋立てて考えるので、それを一個ずつやれば十分に可能だと思っていました」

 デビューからいきなりブレークした新川さん。小説を書くコツは。

 「自分が一番ハイクオリティーに書けるものを意識しています。自分が書けて、他人が書いていないものは何かという発想で考えるのが、作家デビューに近い道なのではないでしょうか」(興野優平)=朝日新聞2021年10月30日掲載