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没後100年の新研究「原敬」など注目の新書5選

「原敬」

 初の本格的政党内閣を率いた「平民宰相」原敬は、生前、驚くほど不人気だった。後に政治技術の巨匠などと変わる評価を、日本政治外交史の研究者が追う。原が「決めること」をいとわず生々しい記録を残したことが、「決めること」を避ける私たちを遠ざけた。没後100年、政治との関わり方を考える。
★清水唯一朗著 中公新書・990円

「新書版 性差(ジェンダー)の日本史」

 昨年の国立歴史民俗博物館での展示をコンパクトにまとめた。男と女の区別はいつどのように生まれたのか。政治空間、仕事とくらし、性の売買と社会、の三つの柱に沿って、古代の卑弥呼から戦後の労働省の女性たちまで、歴史を振り返る。
★国立歴史民俗博物館監修 インターナショナル新書・924円

「図解・天気予報入門」

 気象学の専門家と理科の教科書編集者が、天気予報の原理と仕組みを基礎から解説する。同じ共著者で『図解・気象学入門』があるが、本書は予測に注目。温暖化に伴う強力な台風や線状降水帯などを説明した後、コンピューターを用いた数値予報を詳述する。
★古川武彦、大木勇人著 講談社ブルーバックス・1210円

「日本人にとってキリスト教とは何か」

 没後25年を迎えた遠藤周作。日本人の心にあうキリスト教の発見をめざした作品世界を、集大成とされる『深い河』を軸に、自身も信仰をもつ批評家が読み解く。信じることと疑うことは一つだとする遠藤の言葉に動かされた、著者の若き日の記憶も語られる。
★若松英輔著 NHK出版新書・968円

「独身偉人伝」

 恋多く生きたココ・シャネル、家族を描いた名作を残しつつ独身だった小津安二郎、君主でありながら子孫を残さなかった上杉謙信ら、「おひとりさま」の19人の人生を読み解く。結婚していることと独身でいることに優劣はない。彼らの視点を通し、結婚・独身を巡る人間心理や社会構造を探る。
★長山靖生著 新潮新書・814円=朝日新聞2021年11月6日掲載