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贈呈式を一般公開「受賞作読んで」 乱歩賞・推理作家協会賞

受賞者と京極夏彦さん(左から3人目)

 第67回江戸川乱歩賞と第74回日本推理作家協会賞の贈呈式が1日、東京都の豊島区立芸術文化劇場であった。これまで関係者のみで開かれていた贈呈式を初めて一般に公開。式の模様は動画でも配信した。

 両賞は日本推理作家協会が主催している。同協会の代表理事を務める京極夏彦さんは、一般公開の狙いについて、「一人でも多くの方にこの賞を知ってほしい、祝ってほしい、かないますなら受賞作を手に取って読んでほしい。本は読者の手元に届いて初めて完成する」と話した。

 江戸川乱歩賞は広義のミステリーに贈られる新人賞。伏尾美紀さんの『北緯43度のコールドケース』(「センパーファイ ―常に忠誠を―」から改題)と、桃野雑派さんの『老虎残夢』が受賞した。伏尾さんは「できればもう10年早くデビューしたかったけれど、この作品は今この時でなければ書けなかった」、桃野さんは「おいっ子に恥ずかしくない人間になりたいと思って、乱歩賞を目指した」と話した。

 昨年刊行された作品の中から優れたミステリーに贈られる日本推理作家協会賞。長編および連作短編集部門は坂上泉さんの『インビジブル』と櫻田智也さんの『蝉(せみ)かえる』のダブル受賞となった。同賞の選考委員を初めて務めた柚月裕子さんは「受賞作のみでなく、ぜひノミネート作品すべてお読みいただきたい。そのくらい、どれも面白い作品でした」と振り返った。(興野優平)=朝日新聞2021年11月10日掲載