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連詩で遊ぼう、伊藤比呂美さんが伝授@早稲田大学国際文学館

「これは感動賞だね」「唐突ですごい賞」。伊藤比呂美さんらしいユニークな評価に参加者から歓声があがった=早稲田大学提供

 詩人の伊藤比呂美さんによる詩作のワークショップが先月27日、早稲田大学国際文学館(通称・村上春樹ライブラリー)で開かれた。ライブラリーの開館記念企画「Authors Alive!~作家に会おう~」の第5回。完成した詩の発表には村上春樹さんも朗読で加わり、にぎやかなひとときに。参加者は詩を作る楽しさと難しさを体感していた。

 「連詩をやっていきます」。伊藤さんの高らかな宣言に不安そうな顔も。早稲田大の学生ら公募の十数人が参加した。4人ずつ四つのテーブルに分かれ、チームをつくる。1枚の大きな紙を共有して4人が順番に言葉を書き出してゆく。

 発句は伊藤さんが決めた。「急いだ方がいい」「わたしはそれほど長くこの場所に留まることはできない」。村上さんの『騎士団長殺し』の引用だ。ここから言葉を続けてゆく。「自分の心の中から何か思い出したいことを思い、今まで気がつかなかったことを書いてください」と伊藤さん。

 伊藤さんからは詩のコツも明かされた。「接続詞をぎりぎりまで消すこと。接続詞は書き手が自分の論理でつながりを作ってしまうのでほかの人が関われない」。一番大切なのはリラックスすること。「あなたの作品ではなく、みんなの作品だから遊んでください。日本文化で育った人はまじめになるんだ。肩の力をぬいて」

 完成した四つの連詩は、どれも言葉が縦横無尽に踊っていた。伊藤さんはこう呼びかけ、しめくくった。「詩は自分に向き合わなくてはいけないし、書き慣れてくると行き詰まることがある。でもみんなで連詩をすると自由になる。今日の楽しさを忘れずに、詩に邁進(まいしん)してください」=朝日新聞2021年12月1日掲載