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祖父母への思い、花と短歌に込めて 「敬老の日」イベント、AIもサポート

短歌に合わせて花を選ぶ参加者たち=東京都渋谷区

 ふだん言えない祖父母への気持ちを花と短歌に込めよう――。「敬老の日」前日の18日、10代の学生を対象にしたワークショップが東京都内で開かれた。

 講師は歌人の岡野大嗣(だいじ)さん。集まった学生たちは、祖父母との思い出を呼び起こしながら作歌に取り組んだ。岡野さんは「思い出は美しくなくてもいい。心に深く残っているものを歌にしてほしい」と語りかけ、一人一人にアドバイスをしていった。

 朝日新聞社メディア研究開発センターが開発した「短歌AI」も活用された。短歌のリズムや言葉の並び方をAIに学習させたもので、キーワードや書き出しを入力すると、瞬時に無数の短歌を生成する。詠みたい思い出、情景はあるけれどうまく短歌にできないという参加者は、AIの出力結果も参考にしながら短歌を完成させていった。

 参加者たちは短歌ができると、作品に合わせて祖父母への贈り物にする花を選んだ。藤本なぎさん(18)が詠んだのは、《裏路地で集めてたよね宝物2人で探したねこたちのふん》。祖母と参加した地域の清掃活動を歌にした。「短歌も花も正解がない。難しいけれど、だからこそ自由で楽しかった」

 堀田菜音(なお)さん(19)は、厳しくもあたたかかった亡き祖母を思い出した。《だらしない!声が聞こえる瞬間に祖母が浮かんで正座な私》。短歌AIが出力した「瞬間に祖母」というフレーズを取り入れた。

 イベントは国産花き需要拡大推進協議会の主催。ワークショップは一般社団法人「花いけジャパンプロジェクト」が企画した。(田中瞳子)=朝日新聞2022年9月28日掲載