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「お墓、どうしてます?」書評 困惑と動揺をユーモラスに記録

評者: 藤田香織 / 朝⽇新聞掲載:2023年02月04日
お墓、どうしてます? キミコの巣ごもりぐるぐる日記 著者:北大路 公子 出版社:集英社 ジャンル:エッセイ

ISBN: 9784087718171
発売⽇: 2022/11/25
サイズ: 19cm/219p

「お墓、どうしてます?」 [著]北王路公子

 もはや墓問題は、現代家族における最重要裏課題、といえるのではないか。
 内心、「お墓」なんてどうでもいい、と思っている子ども世代。実は希望や願望もそれなりにある親世代。勝手にしてとも、するとも言い切れず、されど考えるのも面倒くさい。
 本書は、父が急逝したことにより、やおら墓問題と向き合うことになった著者の困惑と混乱、動揺とどうしよう?の記録である。
 二〇二〇年二月から、日記形式で綴(つづ)られていく北海道での日常は、慌ただしくもどこか呑気(のんき)だ。あれよあれよという間に突入したコロナ禍。繰り返される緊急事態宣言。どうなるオリンピック。どうするワクチン。今年も大雪だ! 猫が来た! また自粛だよ! もう飽きた! そうだ、墓!
 「ぶっちゃけ墓っておいくらなの?」って、えぇ?今更そこから!?と、読んでいて幾度となく笑いが込み上げてくる。重くのしかかりがちな墓問題にこの気安さ、大事では?