日本国憲法の条文と現代美術作品を一つずつ組み合わせて展示する異色の企画、「日本国憲法」展が22日、東京都内のギャラリーで始まった。計3会場で6月11日まで展示する。
2019年に刊行されたオールカラーの書籍「日本国憲法」(TAC出版)がきっかけで今回の企画が実現した。この本の企画の芽は昨年亡くなった元小学館の編集者、島本脩二(しゅうじ)さん。82年のベストセラー「日本国憲法」(小学館)の編集者だ。当時は斬新なビジュアル展開が注目を集めた。
TAC出版の本は、憲法の全103条に英訳と戦後日本美術の名作69点を添えたビジュアル本。編集や造本はグラフィックデザイナーの松本弦人(げんと)さんが手がけた。今回の展示も、松本さんが島本さんの遺志を継ぐかたちで、都内でギャラリー「青山|目黒」を営む青山秀樹さん(54)にもちかけたものだ。
財産権と公共の福祉の関係を定めた第29条2項、3項は、阪神大震災を機に壊れた照明器具を題材にした森田浩彰さんの「Broken Light」とセット。税金を課すには立法措置が必要だという租税法律主義を定めた第84条は、平山昌尚さんの絵画「NFT(9192)」と「人生(9459)」に挟まれて展示される。
青山さんは「どの条文にどんな作品を並べたら面白いか。自分なりの組み合わせを思い浮かべながら感じて、考えてほしい」と話す。
3会場と展示期間は以下の通り。観覧無料。
ギャラリー「無人島プロダクション」(東京都墨田区江東橋5丁目)=5月13日まで▽ギャラリー「青山|目黒」(目黒区上目黒2丁目)=5月20日~6月11日▽ジュンク堂書店池袋本店(豊島区南池袋2丁目)5階=4月28日~5月31日。(大内悟史)=朝日新聞2023年4月26日掲載