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李鳳宇「LB 244+1」 244作の映画を手がけたプロデューサーが映画人生をふり返る

 「フラガール」などの製作や韓国映画「JSA」などの配給を手がけてきた映画プロデューサー李鳳宇(リボンウ)さんが自伝的な著書「LB 244+1」を出版した。これまでに関わった244作の映画を紹介しながらその映画人生をたどるメモワールだ。

 記念すべき配給第1作として最初に取り上げたのは名匠キェシロフスキ監督の「アマチュア」。ワルシャワに飛んで2万ドルで買い付けたものの、興収190万円という「惨敗」に終わった。試行錯誤を経て大ヒットとなったのは「風の丘を越えて/西便制」。朝鮮籍だった李さんは、独特の叙情性を持つこの映画にほれ込み、48時間有効の臨時パスポートで韓国に入国。製作会社のボスと焼酎を酌み交わして買い付けに成功した。自身が製作した「パッチギ!」では、テレビ局の「馬鹿げた自主規制」という「厚い壁」を実感した。

 ある人物と握手することが「耐え難い」と授賞式を欠席したケン・ローチ監督や、懐の深い決断力と行動力で「シュリ」の大ヒットを支えた徳間書店の徳間康快元社長といった映画人たちの秘話もさらりと明かされている。「映像業界で働き始めた息子たちに昔の話をすると『そんなことがあったのか』と驚く。これまで出会った映画人のことを映画のように残しておきたかった」と李さんは言う。(守真弓)=朝日新聞2023年7月15日掲載