日本初の雑誌専門の図書館「大宅壮一文庫」(東京都世田谷区)が18日、記事の検索システムを大規模にリニューアルした。人力でつくってきた索引データベースに、明治時代からのデータも統合し、索引数は約1・2倍の計約732万件になるという。検索メニューなども一新し、利用者を増やす狙いがある。
文庫は1971年、前年に亡くなった評論家、大宅壮一氏が残した雑誌や書籍を元に創設された。索引は文庫創設前の56年から、大宅氏が資料を探しやすいようアルバイトに作らせていたのが始まりで、当初は紙のカードに手書きで記していた。02年にデータ化した索引システムができた。
今回のリニューアルでは、88年の索引データ入力開始以前に作成した手書きのデータ100万件を統合。約140年分のデータがまとめて検索可能となるという。
また、これまではパソコン対応が前提だったが、スマートフォンでも見やすいよう、デザインも一新。雑誌文化の衰退や、コロナ禍の影響で赤字が続き、文庫の存続も危ぶまれるいま、次世代の利用者を増やす狙いがある。
リニューアル費用は1億4千万円。随時、寄付も募っている。24日から12月25日まで、索引検索システムを2日間、500円で試せるサービスも提供するという。
この日の記者会見で、文庫の鳥山輝専務理事は「今回のリニューアルで、昔のデータが息を吹き返した。パワーアップしたデータベースをぜひ活用してほしい」と話した。
(島崎周)朝日新聞デジタル2023年07月18日掲載