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「なぜ、おかしの名前はパピプペポが多いのか?」書評 子供たちの質問に言語学者が向き合うと

評者: 藤田香織 / 朝⽇新聞掲載:2023年09月02日
なぜ、おかしの名前はパピプペポが多いのか? 言語学者、小学生の質問に本気で答える 著者:川原 繁人 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン ジャンル:哲学・思想・宗教・心理

ISBN: 9784799329757
発売⽇:
サイズ: 19cm/287p

「なぜ、おかしの名前はパピプペポが多いのか?」 [著]川原繁人

 音声学や言語学は「人間のことをより深く知ろう」という学問であると説く著者が、小学校で行った特別授業を土台に「ことば」の不思議とその楽しさを綴(つづ)る。
 タイトルの謎に言及される章では、濁点(゛)がつく文字は多いのに、半濁点(゜)がつくのは、なぜ「ぱぴぷぺぽ」だけなのか、という評者は考えたことさえなかった疑問に始まり、日本を「にほん」「にっぽん」とは呼ぶけれど、「にっほん」と呼ばないのはなんでだろう、と考えを促す。
 ポケモンの「ピィ」と「グラードン」では、なぜグラードンのほうが強そうなのか。原始人はどうやってしゃべっていたの? どうして授業をしてくれる人のことを「先生」というの?
 子供たちの質問に、わからないことは誤魔化(ごまか)さず、わからない理由を説明し、対話によって広がっていく展開が興味深い。
 日ごろあたり前に使っている「ことば」の奥深さに唸(うな)り誰かに話したくなること確実。新しい世界の扉が開く。