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研究者から一般まで「歴史しよう」フェス、マンガやAIも切り口に 名古屋で3月17日開催

早稲田大教授の藤野裕子さん

 歴史にふれる面白さや、後世に歴史をつなぐ方法について、研究者も一般の人々も関係なく語り合いたい――。こんな思いから研究者らが企画した「歴史フェス」が、3月に初めて名古屋市で開かれる。

 人気歴史マンガ「アンナ・コムネナ」の創作の舞台裏に、歴史教育での生成AI(人工知能)の使い方まで。こうした八つのセッションが、冒頭のシンポジウムの後に並ぶ。参加者からの発言を重視する双方向式の催しも目立つ。考古学での3D活用や、デジタルアーカイブの使い方など最先端の技術を考える企画も設けた。

 フェスを企画したのは、早稲田大教授の藤野裕子さん(日本近現代史)ら6人。大河ドラマや小説、ゲームなど、日本社会では歴史にふれる機会が非常に多い。一方で、研究者と一般の人が一緒に歴史を語り合う場は、まだまだ少ないのが現状だという。専門家向けの「学会」よりも、もっと間口の広い場所があれば――。そうして思いついたのが「フェス」だった。

 近年歴史学界では、専門家と一般市民がともにつくる歴史のあり方「パブリック・ヒストリー」が模索されている。専門家からの一方通行ではなく、みなが主体的に歴史の担い手となる=「歴史する」(doing history)ことを目指す動きだ。

 藤野さんは「歴史する」取り組みの好例として、高度経済成長期に公害被害があった岡山県倉敷市水島地区での取り組みに注目する。ネガティブな歴史の伝え方を、住民との対話を通じて模索している「みずしま資料交流館」の担当者をフェスに招き、語り合う。「理系でも、歴史学を学んでいなくても、日頃からみんなが『歴史している』。フェスがそれに気づくきっかけになればうれしい」と藤野さんは話す。今後の定例化も目指すという。

 歴史フェスは3月17日午後1時から、名古屋市千種区の名古屋大東山キャンパスで。参加無料。一部のプログラムを除いてオンライン配信もある。対面もオンラインもホームページ(https://sites.google.com/view/historyfes2024)で事前申し込みが必要。子ども連れでの参加もできる。(平賀拓史)=朝日新聞2024年2月14日掲載