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「猫の都イスタンブールに住んでみた」書評 街の人びとに愛され、くつろぐ

評者: 藤田結子 / 朝⽇新聞掲載:2024年07月06日
猫の都イスタンブールに住んでみた 著者:アジアねこ散歩 出版社:ハーパーコリンズ・ジャパン ジャンル:文学・評論

ISBN: 9784596992864
発売⽇: 2024/04/26
サイズ: 18.8×1.3cm/192p

「猫の都イスタンブールに住んでみた」 [著]アジアねこ散歩

 猫を飼いたいけれど、旅も好きだ。猫を家に残して旅に出たら、猫に寂しい思いをさせてしまう。猫を選ぶべきか、旅を選ぶべきか。
 そんなジレンマを少しでも解消してくれそうと目に留まったのが本書。猫も旅も同時に楽しめる。ハチワレ、黒猫、むちむちさん。様々なタイプの猫が、美しいイスタンブールの街でくつろいでいる。炭火焼きサバサンドや、甘いシロップが滲(にじ)むバクラヴァなど美味(おい)しそうな料理も。心躍る写真が満載だ。
 でもなぜ、公園や駅、本屋や食堂に猫が? 現地に移住した著者によれば、イスラム文化では伝統的に猫をかわいがる。さらにトルコでは、2004年に動物愛護法が制定され犬猫との共存が再開された。街の人びとが餌をあげ共に世話をする。ペットショップでの販売は禁止され、猫の保護活動も盛んだという。
 彼の地には猫との異なる関わり方があるようだ。異文化に触れて自文化と異なる合理性の存在に気づくこともある。ますます旅に出たくなり、猫と一緒に暮らしたくなってしまった。