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かこさとしさん「くらげのパポちゃん」遺稿が絵本に 孫が絵を担当

「くらげのパポちゃん」

 絵本作家で、「だるまちゃんとてんぐちゃん」などで知られるかこさとしさん(1926~2018)の遺稿「くらげのパポちゃん」が絵本になり、講談社から発売された。神奈川県藤沢市の自宅で21年に見つかった手書き原稿に、孫の中島加名(かめい)さん(30)が絵を付けた。

 舞台は戦後間もないころ。クラゲのパポちゃんは、ある少年がもうすぐ働きはじめること、少年の父親が戦場へ向かう途中に船が沈んで亡くなっていたことを知る。少年が成長したことを、海にいる亡き父に伝えようと、パポちゃんは大海原に向かう。

 原稿は計14枚。最後に「1950~55年」と記され、物語は完成していた。長女の鈴木万里さん(67)は「一読して心に響くものがあった」。

 かこさんは2000年、科学絵本「クラゲのふしぎびっくりばなし」を出した。昨夏、この本を担当した編集者が、下書き原稿に「ミズクラゲのパポより」という一文が添えられた、クラゲの線画を見つけたという。鈴木さんは「パポちゃんがかこの頭の中に生き続けていた証し」と話す。

 中島さんは今回、伯母の鈴木さんに説得され、絵を手がけた。

 今作の原稿が書かれたのは、戦後の復興期。かこさんが川崎市内で会社勤めをしながら、親を失うなどした子たちを支える活動に取り組んだころだ。

 中島さんは「終戦後も厳しい状況に置かれた子どもたちがいた。かこは、歯がゆい思いや強い怒りを抱き続けていたのでは」とみる。(伊藤宏樹)=朝日新聞2025年2月22日掲載