
第24回女による女のためのR―18文学賞(新潮社主催)の贈呈式が今月開かれ、受賞した斉藤時々さんがデビューに向けて抱負を語った。
斉藤さんは「笑顔は業務に含みません」で、大賞とお笑い芸人の友近さんが選ぶ友近賞をダブル受賞した。主人公は下がった口角がコンプレックスの女性だ。笑顔が素敵な同僚の男性が、上司のパワハラで出社できなくなり、主人公たち女性陣は、ある反撃に出る。職場での笑顔をテーマに現代社会を映し出した。
選考委員の窪美澄さんは「文章力、構成力、想像力、どれもが群を抜いていた。世の中からちょっと見えにくくなっている人を可視化するという、小説がもつ役割について深く考えるきっかけにもなった」と評した。
斉藤さんは、かつて飼っていた犬の「ジジ」から「時々」という名前をとったと紹介。「めちゃくちゃじじいになるまで長生きしますように」と願って名付け、18年生きたという。「ビビリのくせに、ときどきとんでもない大胆さと勇敢さを発揮した、ジジの名に恥じない小説を書いていきたい。18年後にもこの名前で小説を発表していることを願ってやみません」と今後の抱負を語った。(堀越理菜)=朝日新聞2025年6月25日掲載
