ISBN: 9784908837173
発売⽇: 2026/01/30
サイズ: 12.5×17.5cm/228p
「まちに生きるローカル商店」 [編著]URローカル商店研究会
多くの「絶滅危惧種」がある。けれども生き延びてやるという強い意志があった。そんな十四の事例が紹介されている。
林田茉優さんは大学生だった。そこで出会ったのが、無添加のかまぼこづくりで支持を得ていた老舗の工場。社長が病気で倒れ、廃業の危機に。仔細(しさい)は省こう。ともかく後継者選びや工場再開に向けて林田さんは力を尽くした。そして、いまはなんと林田さんはその工場と販売会社の社長をしている(正社員は林田さんだけだが)。
除村(よけむら)千春さんは、子どもの頃その駄菓子屋によく通っていた。ところがやがて、閉店。再開しても再度閉店。そのとき、こういう場所をなくしてはいけないという気持ちが彼に芽生えた。クラウドファンディングで資金を集め、駄菓子屋を復活させた。さらにシェアキッチンとレンタルスペースを加え、彼自身の設計事務所もおいて、ハイブリッド駄菓子屋として生まれ変わった。
「まち」とひらがなで書く。するとなんだか、まちがひとでできているという感じがしてくる。店は、ひとなのだ。ひとに支えられ、ひとを支える。店は、文化なのだ。巨大化し効率化を求める波に飲み込まれそうになる私たちのとまり木になる。下町のパン屋さんの正面の写真。私はそれを見て声をあげて笑った。いかにもおんぼろな、ユーモアさえ感じさせる、おいだいじょうぶかと言いたくなるたたずまい。こんどぜひここでコッペパンを買って食べよう。
しかし、そんな話が楽しく紹介されているだけの本ではない。ローカル商店研究会は、これらの事例から絶滅危惧種の生き残り戦略への教訓を抽出する。この店を、ものを、技術を残したい、そんなまちでありたい、その意志をもっている人たちに、本書は力強いエールとアドバイスを送る。
でね、私はさっそく紹介されている豆腐屋に行って、寄せ豆腐とお揚げを買ってきたのです。ごちそうさまでした。
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UR(独立行政法人都市再生機構)内で結成された若手職員による研究会の一つ。ローカル商店とまちづくりを考える。