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河出書房新社の季刊誌「スピン/spin」 第16号で終刊 記念イベントも開催

イベント会場に並んだ「スピン」。右手前が最終号

 河出書房新社の季刊誌「スピン/spin」が、今夏刊行の第16号で終刊を迎えた。

 河出書房新社の創業140周年に向けたカウントダウン企画として、2022年9月に16号限定でスタート。小説やエッセー、詩歌など内容は多岐にわたり、恩田陸さんや中村文則さんといった名だたる作家をはじめ、さまざまなジャンルの書き手が執筆してきた。

 「紙」にこだわる雑誌でもあった。紙の専門商社「竹尾」とのコラボレーションで、在庫限りとなった紙や新しい紙など、毎号多彩な紙を目次などに使用。その号の紙を解説するページもあった。

 先月17日、その竹尾の東京都内のショールームで、終刊記念イベントが開かれた。第16号などに短編を執筆した作家の小原晩さんと、小原さんの小説集「風を飼う方法」のブックデザインを担当した岡本太玖斗さんが登壇。スピン創刊から最終号まで「詩歌の話」を連載したゲーム作家・書評家の渡辺祐真さんが司会を務めた。

 対談の話題はやはり、本の紙やデザインの話。小原さんは「自分の本のデザインを誰にお願いするかとか、どういう感じにしたいとか、私はかなり意見を言いたいほう。編集さんに言っておくんです。すごく口出しますって」。「風を飼う方法」のデザインを岡本さんに依頼したのは、岡本さんが手がけたPerfumeのグッズにひかれたのがきっかけだったという。

 「風を飼う方法」は、紙の色を生かした淡いクリーム色のシンプルなカバー。「風通しのいい文章で、タイトルにも『風』があるし、すきまが多いデザインがいいなと思って」と岡本さん。「ブックデザインは、へたなことをすると作品を殺してしまう。今回も、なるべく何もしないくらいがいいっていう感じがありました。紙の選び方とか、書体とか」

 「風を飼う方法」にはスピン第6号の掲載作も収録されている。スピン編集人の尾形龍太郎さんは「スピンに載った小説が単行本になって、その本が総合芸術みたいにいろんなこだわりでできあがっていく楽しさを、今日は皆さんと感じられたのでは」。イベントを見守った竹尾の「紙営業士」相田奈緒子さんは、「スピンは一般の読者の方々に紙についていろいろ気づいていただける機会になって、とてもありがたかった」と終刊を惜しんだ。(編集委員・柏崎歓)=朝日新聞2026年8月12日掲載