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「誰もが嘘をついている―ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性」 検索でわかる差別、理解から解決へ

誰もが嘘をついている―ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性 [著]セス・スティーヴンズ=ダヴィドウィッツ

 本書はビッグデータ分析に基づく人間・社会研究。著者はグーグルのデータ・サイエンティスト等を経て、現在はジャーナリスト。
 様々なビッグデータの中でも、本書が特に重視するのはグーグル検索のデータ。著者はこれを「デジタル自白剤」と呼ぶ。そこから浮かび上がるのは、主に米国社会における人種差別や性的コンプレックス、隠された児童虐待や自発的中絶、暴力的な反イスラム感情など、あられもない分析結果ばかりだ。
 しかしグーグル検索で理解が深まればこそ、しぶとい差別や偏見を減らすことができるという面もある。たとえば2015年に米国で起きた、イスラム教徒風の名前を持つ男らによる銃乱射事件の後、当時のオバマ大統領は「イスラム系アメリカ人にはスポーツ選手や、祖国を守るため兵役に就く者が多い」と演説。
 それまで「イスラム教徒」と一緒に検索されるのは「テロリスト」などが多かったが、この演説を受けて「スポーツ選手」や「兵士」の検索回数が上回った。つまりイスラム教徒に対する米国人の認識を変えたのだ。このようにデータを豊富に集めることは、問題解決への第一歩になると本書は説く。=朝日新聞2018日3月11日掲載