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文様の楽しみ、本の外にも

「文様えほん」

 文様とは、「着るものや日用品、建物などを飾りつけるために描かれた模様」とのこと。日本でも、縄文時代からヘラや竹筒や貝殻や爪を使って土器や人形に描かれていたし、現代でもラーメン鉢や衣服に描かれている。モチーフは、植物、動物、天体や自然など様々だし、線や図形を組みあわせた幾何学文様もある。
 本書は、そうした文様の種類を教えてくれるだけではない。地図で世界各地の文様の違いや伝播(でんぱ)による変容を見せたり、四季折々の生活や町の風物の中にひそんでいる文様を示したりもする。巻末の用語集や豆知識もついたノンフィクション絵本だが、読んだあとの子どもたちには、身のまわりのあちこちに文様を発見していく楽しみが待っていそうだ。(翻訳家 さくまゆみこ)
 ★谷山彩子作、あすなろ書房、税抜き1400円、小学校中学年から

「やもじろうとはりきち」

 赤ちゃんの頃からなかよしだったのに、いつからか疎ましくなった幼なじみ。だって足はのろいし、木登りもできないし、意地悪しても笑っているし……。「はりきちなんてだいきらい!」。爬虫(はちゅう)類好きな作者がヤモリ目線で描くハリネズミとの友情。もやもや悩んで泣き笑い。巧みな構図の変化が物語を導く。子どもの日々を見守る目があたたかい。(絵本評論家・作家 広松由希子)
 ★降矢なな作・絵、佼成出版社、税抜き1300円、3歳から

「まほろ姫とにじ色の水晶玉」

「まほろ姫とブッキラ山の大テング」の続編。ほぼ全ページに作者の楽しいさし絵があり、読み手をぐいぐいファンタジーの世界へと引き込んでいく。まほろ姫と茶々丸のやりとりが軽妙で面白く心が弾んでくる。都からふすま絵を描くためにやってきた絵師・雲風(うんぷう)と不思議な水晶玉を持った迷子の小雪ちゃんを巡る物語。(ちいさいおうち書店店長 越高一夫)
 ★なかがわちひろ作、偕成社、税抜き1300円、小学校中学年から=朝日新聞2017年11月25日