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父と「うそ日記」、お話づくり競う

 川崎市の小学5年生、原知子さん(10)が書いた童話が「一日だけうさぎ」(くもん出版)という絵本になり、今月になって重版が決まった。幼い頃から父の正和さん(44)と楽しんできた膨大な「お話づくり」から生まれた作品で、知子さんは「心が疲れた大人の人にも読んでほしい」と話す。
 1年に1日、町じゅうの人がうさぎになる「うさぎの日」がある町の物語だ。3年生だった2年前、日本児童文学者協会や日本児童文芸家協会などが主催する「子ども創作コンクール」に応募し、ユニークな発想などが絶賛されて最優秀賞を受賞。こばようこさんの絵で昨年11月に出版された。

川崎の小学生の童話、絵本に

 お話づくりを始めたのは2~3歳ごろ。寝る前や散歩中などに正和さんがつくったお話を聞くうち、知子さんも自然とつくるようになった。初めは字がかけず、絵を描いておしゃべりしていたが、幼稚園の頃から「うそ日記」と呼ぶ物語の交換日記を交わして親子競作が始まった。「お父さんのお話が面白くて、私ももっと面白いお話を、と思う」と知子さん。これまでに50作以上の童話を創作した。
 正和さんも一昨年、知子さんのために書いたお話をベースにした童話集「お父さんとお話のなかへ」(本の泉社)を出版した。「子どもの作るお話は、主人公が困難にへこたれず、未来を切り開く明るさにあふれている。親子で想像力を競うのは刺激的で、特別な時間です」
 (足立朋子)=朝日新聞2017年4月29日掲載