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祭り彩る、多様な「おもてなし」

野本暉房さん 78歳 神饌を追い続ける写真家

 奈良県内の祭りを撮り続けて20年。祭神へのお供え「神饌(しんせん)」に注目してきた。3月に写真集「神饌 供えるこころ」(淡交社、税別1800円)を出した。
 「最初は、祭りの中で動きのあるものや華やかなものを撮っていた。そのうち、祭りには必ず上がる神饌に興味がわいた。酒、米、塩が基本だけれど、中には『オッ』という変わったものもあり、カメラを向けたんです」
 赤、黄、緑と色鮮やかで、形も様々な神饌が各地にある。一方、農業用水のふちに、ササの葉入りのコップ酒を供えただけのものも神饌だと思えた。
 「どれも、神さんへのおもてなしでしょう。それらがどんどん、みんなの祭りとして盛り上がる。そういうものが体質的に好きなんです」。ただし、大がかりな機材はなし。手持ちのカメラで、許可を得たところだけを撮ってきた。
 お供え用の野菜をわざわざ育てる地域もあるが、継承者不足などで模型や剝製(はくせい)に置き換えてきたところもある。「皆でわいわいと神饌をつくっている姿がいいのに。本当に惜しいです」
 (編集委員・小滝ちひろ)