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柚木麻子「ナイルパーチの女子会」書評 奇行のおぞましさと「あるある感」

評者: / 朝⽇新聞掲載:2015年05月10日
ナイルパーチの女子会 著者:柚木 麻子 出版社:文藝春秋 ジャンル:小説・文学

ISBN: 9784163902296
発売⽇: 2015/03/28
サイズ: 20cm/352p

ナイルパーチの女子会 [著]柚木麻子

 ブログ「ダメ奥さん日記」の愛読者だった大手商社の総合職、30歳の栄利子は、ひょんなことから日記の書き手、同い年の翔子と出会う。年収1千万円超の栄利子は、美しい容姿の陰に同性の友だちができないというコンプレックスを抱えていた。この人こそ、と性急に接近を図る栄利子。自身の理想をひたすら押しつけてくるキャリア女子に、主婦は恐れと嫌悪を覚えはじめる。
 ネット環境で増幅していく奇行のおぞましさと「あるある感」は男性読者でも骨身にこたえるだろう。ナイルパーチはアフリカに生息する肉食の魚、生態系を壊すほどに食べ続けるという。毒々しい友情戯画小説だが、淡彩で締めたラストのおかげで後味は悪くない。
    ◇
 文芸春秋・1620円