内田洋子「イタリアのしっぽ」書評 動物や植物を通じた出会い
評者: / 朝⽇新聞掲載:2015年05月17日
イタリアのしっぽ
著者:内田 洋子
出版社:集英社
ジャンル:エッセイ・自伝・ノンフィクション
ISBN: 9784087716085
発売⽇: 2015/05/01
サイズ: 20cm/230p
イタリアのしっぽ [著] 内田洋子
長年、イタリアに暮らし、出会った人々を描き続ける内田洋子さんの新エッセー集は、動物や植物を通じた出会いがテーマ。
獣医になるため上流階級を捨てた女性や、ペットの猿と一時も離れられない男性……。エッセーなのに、まるで一話一話が一編の映画のよう。
無駄がないのに多弁な文で、著者が描くイタリアは、ガイドブックや旅行番組では見ることのできない顔をしている。外向けの皮を一枚めくったような、生々しく、一筋縄ではいかない素の顔だ。こんなに面白い話が次々と登場するのは、異国というだけでなく、メディアの仕事に長く関わってきた著者の取材力によるのだろう。
◇
集英社・1620円