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「国民に銃を向ける」ことへの迷い

出動せず 自衛隊60年の苦悩と集団的自衛権 著者:瀧野 隆浩 出版社:ポプラ社 ジャンル:社会・時事・政治・行政

価格:1836円
ISBN: 9784591142509
発売⽇: 2014/12/05
サイズ: 20cm/245p

「君たちは一生日陰者になるが、耐えてくれ」 吉田茂の遺訓に暗示された隊員たちの行く末とは。「沈黙の組織」自衛隊の変遷を通し、「国家と戦力」という回避された議論の核心を問う…

評者:朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2015年03月15日

出動せず―自衛隊60年の苦悩と集団的自衛権 [著]瀧野隆浩

 1995年のオウム真理教事件で、教団が所有するヘリが飛び立ったときに備え、自衛隊の治安出動がひそかに検討されていた。さかのぼれば、反安保運動が盛り上がった60年代末から70年にかけ、治安出動の際の行動基準が作られようとしたが中止された。「国民に銃を向ける」治安出動への迷い。同じころ、自衛隊員に「決起」を呼びかける三島由紀夫に、のちの陸幕長は「私たちは役人です」と応えた。そして今、「テロの脅威」に治安出動の意味も変わりつつある。「君たちは一生日陰者になるが、耐えてくれ」と防衛大1期生に伝えたといわれる吉田茂の「遺訓」、旧軍との関係など、自衛隊の苦悩をたどる。著者は防衛大卒の毎日新聞編集委員。
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 ポプラ社・1836円