1. HOME
  2. 書評
  3. 「高峰秀子かく語りき」書評 名女優の口調の歯切れ良さ

「高峰秀子かく語りき」書評 名女優の口調の歯切れ良さ

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2015年07月12日
高峰秀子かく語りき 著者:高峰 秀子 出版社:文藝春秋 ジャンル:エンタメ・テレビ・タレント

ISBN: 9784163902678
発売⽇: 2015/06/22
サイズ: 21cm/564p

高峰秀子かく語りき [編解] 斎藤明美

 高峰秀子は5歳でデビュー以来、300本を超える映画に出演。名随筆家としても知られた。24歳から78歳までの対談を集めた本書では、俳優や文学者、政治家らを相手に自分自身の言葉で語り、人としての素養を感じさせる。長谷川一夫を楽屋に訪ねての打ち解けたおしゃべり、田中絹代、山田五十鈴と映画「流れる」の楽屋語り……森繁久弥との対談では、19本も主役を務めた成瀬巳喜男監督と「口利いたことない」と明かし、池部良には「映画で接吻(せっぷん)なんか一度もしません」と言う。語ることの内容も興味深いのだが、文字からでも伝わってくるような、口調の歯切れ良さも魅力的。86歳で亡くなって、5年になる記念の刊行だという。
    ◇
文芸春秋・3186円