『ちいさいおうち』などで知られ、世代を超えて愛される絵本作家の全体像を豊富な図版で紹介するのが『ヴァージニア・リー・バートンの世界』(ギャラリーエークワッド編、小学館・2052円)。恐慌や戦争の嵐が吹いた20世紀の米国で、自立を目指した女性の軌跡でもある。
ページを繰ると、作品は女性へのエールに満ちていると改めて気づく。主人公であるスチームショベルや除雪車など、米国の発展を支えた機械はみな女性の名が付けられているのだ。『ちいさいおうち』の英語版の表紙には、「HER STORY(彼女の物語)」と記される。歴史(HISTORY)は男性の物語(HIS STORY)だけではない、との思いを込めて。
地元の主婦らと立ち上げたデザイン集団の手仕事は高く評価され、デザインの黄金比率などの理論も組み立てた。博物館に8年通って描きあげたという『せいめいのれきし』は、科学的な目を感じさせる。
関連展を東京・表参道のスパイラルガーデンで27日まで開催。入場無料。
(小川雪)=朝日新聞2018年5月19日掲載
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