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全てを肯定するような死生観

やがて海へと届く 著者:彩瀬 まる 出版社:講談社 ジャンル:小説・文学

価格:1620円
ISBN: 9784062199254
発売⽇: 2016/02/03
サイズ: 20cm/222p

すみれが消息を絶ったあの日から3年。すみれの恋人だった遠野は彼女の荷物を処分しようと言い出す。親友を亡き者として扱う遠野に反発する真奈は悼み悲しみ続けるが…。死者の不在を…

評者:朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2016年03月20日

やがて海へと届く [著]彩瀬まる

 「信じるとは、なんだろう」。自分や他者の死に真正面から向き合い葛藤する登場人物の心情に引き込まれる。
 震災の前日、ふらりと出かけたきり行方不明になった親友すみれ。彼女に思いを寄せ続ける真奈は、すみれの母やかつての恋人のようには彼女の死を認められず、「最も深い苦しみだけが、本当のものであるように思っていた」。すみれもまた、おそらく生者とは異なる世界で、帰る場所を探してただ歩き続けている。置かれた状況を徐々に受け入れていく2人の視点が重なる一瞬。その切なさが胸を締め付ける。
 際立つのはすみれが行き着く波打ち際の美しく幻想的な描写。全てを肯定するような死生観に圧倒される。
    ◇
 講談社・1620円