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「核の戦後史」書評 日本の核の現実を多角的に

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2016年03月27日
核の戦後史 Q&Aで学ぶ原爆・原発・被ばくの真実 (「戦後再発見」双書) 著者:木村朗 出版社:創元社 ジャンル:社会・時事・政治・行政

ISBN: 9784422300542
発売⽇: 2016/03/03
サイズ: 19cm/283p

核の戦後史 [著]木村朗、高橋博子

 「状況を変える第一歩は、歴史的な事実を丹念に掘り起こすこと」。本書は公開資料を駆使して戦後の日本の核の現実を多角的に掘り下げる。日本への原爆投下は1943年5月に検討され、ポツダム宣言には「四つの罠(わな)」があったという。原爆投下は正しかったとする米国の「神話」は、どのように生まれ、日本政府はなぜ追認しているのか。広島と長崎の被爆者データはいかに隠蔽(いんぺい)され、今なお内部被曝(ひばく)の影響を過小評価する意図とは何か。原爆投下までの米国の思惑や国際情勢、放射線の危険性などを具体的にときほぐし、核武装を口にする政治家や日米原子力協定にも言及。広島、長崎の核被害と福島後の原発再稼働が地続きであること改めて示す。
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 創元社・1620円