内田洋子「どうしようもないのに、好き」書評 からまる人間関係柔らかく受け止め
評者: 朝日新聞読書面
/ 朝⽇新聞掲載:2014年11月09日
どうしようもないのに、好き イタリア15の恋愛物語
著者:内田 洋子
出版社:集英社インターナショナル
ジャンル:エッセイ・自伝・ノンフィクション
ISBN: 9784797672787
発売⽇: 2014/09/26
サイズ: 19cm/249p
どうしようもないのに、好き [著]内田洋子
イタリアで出会った人々の恋愛にまつわるエピソードを中心とした15の物語。元女優で90歳近いニニが著者にときどき「どうしようもないのに、好きだった」と口にしていた、はためにはほろ苦い思い出にも感じられる、男前の結婚相手との起伏のある日々、善人を絵に描いたような男と結婚したセレーナが家に若い男を居候させ続ける奇妙な三人での新婚生活……。複雑な人間模様、解こうとすればするほど糸はもつれる、でも規則正しく平坦(へいたん)なものより、混乱したまま転がった玉のほうが柔らかな手触りだったりする、と著者は記す。人々のからまった関係を柔らかく受け止める著者の視線も心に残る。
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集英社インターナショナル・1404円