お笑いコンビ・オアシズの光浦靖子さん(47)が今月、エッセー集「ハタからみると、凪(なぎ)日記」を出版した。日常のたわいもない出来事から、自分の内面を見つめて考えたことまで、48の文章をおさめた。「遠浅の日記」を書いたと表現する光浦さんに話を聞いた。
2012~17年に毎日新聞中部本社版に連載した短編を中心に編んだ。毎年律義に花を咲かせたベランダのシクラメンのこと、カーテンづくりに没頭した夜のこと、「武士でいう刀」だというトレードマークの眼鏡を楽屋に忘れて焦った時のこと、恋愛や結婚についてその時々で考えたこと。自身に「怒り癖」があるのでは、と考える回もある。
どれも、休日の部屋に差し込む日差しのような空気が漂う。光浦さんは「深く深く考えていったら大変なので、遠浅な感じを楽しんでいただければ。こういう人も生きてんだ~と思ってもらえれば」と話す。
本の最後の48本目として載せた文章のタイトルは「めちゃイケ」。「もはや素人」の時にディレクターに声をかけられたこと、「『面白くない』と書かれたお札を顔にぺたん」と貼られるような日々、笑いがとれるよう祈ったこと……。18年春に放送を終えたバラエティー番組「めちゃ×2イケてるッ!」は光浦さんにとってどういう番組でしたか?と尋ねると、こう答えた。
「自分で選んでそこへ行きたいから行ったわけでもないし、でもそこで教えられたこと全てが初めて。共演者も家族のように、永遠に一緒におるみたいな感覚」
エッセー集は毎日新聞出版より発売中。税別1400円。(湊彬子)=朝日新聞2018年6月23日掲載
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