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言葉のぬくもりがじんと広がる

きみはいい子 (ポプラ文庫) 著者:中脇 初枝 出版社:ポプラ社 ジャンル:一般

価格:713円
ISBN: 9784591139752
発売⽇: 2014/04/01
サイズ: 16cm/329p

17時まで帰ってくるなと言われ校庭で待つ児童と彼を見つめる新任教師の物語をはじめ、娘に手を上げてしまう母親とママ友など、同じ町、同じ雨の日の午後を描く五篇からなる連作短篇…

評者:朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2012年07月01日

きみはいい子 [著]中脇初枝

 扉の向こうから「どすん」と音がする。ある町を舞台にした連作短編集には、全編を通して虐待の気配がある。食事は給食だけ、夕方5時まで帰ってくるなと怒られるという男の子。出かける時に笑顔を装着し、帰宅した瞬間、幼い娘に怒りをぶつける母親。このつないだ手を離せば、認知症の母を捨てられると思う中年の娘。男の子の担任である「ぼく」は崩壊しつつあるクラスで「家族に抱きしめられてくること」という宿題を出す。宿題ができなかった男の子に「ぼく」はそうっと手を伸ばす。虐待はだめ、と声高に叫ぶわけではない。筆致は淡々としていて、だからこそ「きみはいい子だよ」という言葉のぬくもりがじんと広がる。
    ◇
ポプラ社・1470円