柚木麻子さん「BUTTER」出版権引きあげ 週刊新潮コラム問題で
「週刊新潮」が掲載したコラムで、作家の深沢潮さんらが名指しで差別を受けた問題をめぐり、22日、作家の柚木麻子さんがベストセラー小説「BUTTER」の出版の権利を新潮社から引きあげたと自身のインスタグラムで発表した。同作は今後、河出書房新社から刊行される。
柚木さんはコメントで「彼女(深沢さん)にかかった負担、そして孤立について見聞きし、出版というシステムの在り方を深く考え直す契機の一つとなりました。作家として、自分にできる具体的なアクションは何か。検討を重ねた結果、新潮社様における複数の版権のうち、一作を他社へ移動するという選択に至りました」などとしている。
「BUTTER」は2017年の刊行以降、これまでに日本で65万部(電子書籍含む)、海外でも英国を中心に約100万部の大ヒットを記録している。河出書房新社によると「現在注目を集めている作品を新たに扱うことは経験がないが、柚木さんのご意向を踏まえて、読者の皆さんにご迷惑をおかけしないように、新潮社さんと協議を続け、合意した」という。新装版を6月中旬に河出文庫から刊行予定で、海外の出版権の調整も引き継ぐ。
コラムは昨年、「週刊新潮」7月31日号に掲載された。「創氏改名2・0」と題し、深沢さんをはじめ俳優や大学教授らの実名を挙げて「日本も嫌い、日本人も嫌いは勝手だが、ならばせめて日本名を使うな」と記した。深沢さんは、コラムを収録した書籍などの内容が事実に反し、名誉感情を侵害するものだったとして、書籍の刊行元とコラムの筆者を提訴している。
新潮社は22日、朝日新聞の取材依頼に「著者との個別の契約内容につきましては、弊社からは公表しておりません」と答えた。
(野波健祐、伊藤宏樹)朝日新聞デジタル2026年04月22日掲載