「マッチョになりたい!?」書評 規範にしばられた男の生きにくさ
評者: 朝日新聞読書面
/ 朝⽇新聞掲載:2011年09月18日
マッチョになりたい!? 世紀末ハリウッド映画の男性イメージ
著者:國友 万裕
出版社:彩流社
ジャンル:芸術・アート
ISBN: 9784779116476
発売⽇:
サイズ: 20cm/291p
マッチョになりたい!? [著]國友万裕
「男らしさ」が、もし男性にとって生来自然なものであったとしたら、ことさらに規範として称揚する必要もなかったろう。ベトナム戦争後の米国では、マッチョなタフガイという男らしさのイメージを引き受けられない男性たちの苦悩が公に語られはじめ、メジャーな映画作品にもそれが反映されるようになってきたという。ジェンダー研究者で男性運動にもかかわってきた著者が、「ファイト・クラブ」「マトリックス」など9本のハリウッド作品から、規範にしばられた男の生きにくさを論じ、男尊女卑を否定してもなお残ったハリウッド「最後の砦(とりで)」たる同性愛嫌悪が、男のつらさの根っこにあると示唆する。
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彩流社・2310円