満州事変からアジア太平洋戦争までの「十五年戦争」に従軍した兵士を中心に、200人近い人々の声を集めた戦争の記録です。中国、東南アジア、南方戦線、そしてシベリア抑留と、悲惨の限りを味わった兵士たちの重い口を、粘り強い志で開かせたのは郷土史家で元教師の仙田実氏。その証言を史実とともに丹念にまとめ上げ、娘で同じく教師の典子さんが確認作業を行いました。
淡々と事実を伝えようとする姿勢があるからこそ、ときに人間臭い体験談からは戦争の真実が浮かび上がります。
2008年に日本自費出版文化賞に入選し、この10年で5刷に達したロングセラーの新版。兵士たちのほとんどが世を去った今を、新たな「戦前」にしてはならない。その思いで貫かれた良書です。
定価1800円+税 文芸社 03・5369・2299