大人になると音読をする機会はめっきり減ります。でも、本書に収められている名文を声に出して読むと、豊かな音の響きに驚かされます。歯切れの良い文体が小気味よい『坊っちゃん』、軽快な『枕草子』、悠然とした『奥の細道』など、文章は意味を伝えるだけでなく、リズムやテンポも楽しむものだと実感できるはずです。
本書によると、音読は気持ちを落ち着かせる神経伝達物質セロトニンの分泌を促し、やる気を司る前頭葉を刺激するなど、脳に良い作用を及ぼすといいます。カラオケで歌うようなストレス解消効果も見込めるそうです。
手軽な健康法として、また黙読とは一味違う文学鑑賞法として、毎日の習慣に加えてみてはいかがでしょう。
定価1300円+税 自由国民社 03・6233・0781