いよいよ2018年8月24日(金)より、東京・六本木の国立新美術館にて「荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋」が開催される。国立の美術館で漫画家の原画展が開催されるのは、手塚治虫以来2人目のこと。現役の漫画家としては初の快挙だ。ファン待望の原画展の全貌を一足先に取材してきた。
「ジョジョの奇妙な冒険」の連載が「週刊少年ジャンプ」で始まったのは1987年のこと。本展は、連載始まって以来の「史上空前の<JOJO>の祭典」。構成は8つのパートに分かれている。その中でも注目なのは、この展覧会のために荒木飛呂彦さんが描き下ろした12枚の特大原画。キャラクターがほぼ実物大で描かれた迫力あるジョジョの世界は必見だ。
キャラクターと一体になってほしい
展覧会開催に先立ち、荒木さんによるトークセッションが開催された。「今までずっと原稿のサイズの絵を描いてきたので、この大きさは生まれて初めて描きました」。絵を見る私達と、キャラクターを一体化させたい、現実とファンタジーの融合を意識してこの作品を制作したという。
第3部の主人公であり、荒木さん自身も思い入れが深く、読者からの人気も高い空条承太郎とDIOが目立つが、他のキャラクターは意外にも「人気とかは何も考えないで描いた」とのこと。「単純にシルエットや、女性、男性だという理由で選びました。同じようなキャラがいないように、と意識して。本当だったらこの絵を壁にぐるりと一周飾って、360度絵に囲まれた状態で見てほしいぐらい。ぜひ絵の近くに寄って、間近でじっくりと見てほしいです」。ちなみに、失敗した部分もあるそう。「DIOのところの色が、ちょっと濃いなって思うんですよ……絵がすごく大きいから、近くに寄って描いてるとよくわからなくなっちゃって……。だからここに持ってきて思いますが、直したいですね(笑)」
そんな失敗も含め、「漫画のライブ感を楽しんでほしい」と荒木さん。ジョジョのすべてが詰まった展覧会、その他の見どころも紹介する。
キービジュアルは空条承太郎
入り口で迎えてくれるのは、空条承太郎のキービジュアル。ちなみに11月から同展示会は大阪でも開催されるが、こちらのキービジュアルはDIOとなっている。
「ジョジョクロニクル」
ジョジョ誕生から30年、1部から8部まで時代、主人公を変えながら続いてきた「運命の物語」。壮大な世界観を振り返る導入部。
「宿命の星 因縁の血」
宿命と因縁を背負いながら生きる、主人公とライバル。豊富なカラー原画や印象的なセリフとともに、「光と闇」が創る世界を浮かび上がらせる。主人公に負けず劣らず、どのライバルも個性豊かで魅力的だと、改めて感じられるはず。
「スタンド使いはひかれ合う」
ジョジョの世界観に欠かせない“スタンド”。個性豊かなスタンドとキャラクターが一挙に集結した部屋。美術家・彫刻家の小谷元彦さんがジョジョとコラボした作品も展示されている。この作品「モルフ」は小谷さんが自身の顔と他者を融合させて変形させたもの。ジョジョの世界にも「彫刻」が深い影響を与えていると感じるという小谷さんがスタンドを解釈したものとなっている。
「JOJO’sDesign」
「ジョジョ」を彩るカラー原画が並ぶ部屋。「ジョジョ立ち」に代表される印象的なポージング、ファッション、色使い、構図など、漫画を超えて生み出されるアーティスティックな世界観を存分に味わえる。
ANREALAGEデザイナーの森永邦彦さんは、「ジョジョ立ち」の服を制作。服に人体をあわせるという、通常とは逆のアプローチが取られている。服には人間の目には見えない「不可視長」でスタンドがプリントされていて、紫外線を当てた時のみ模様が浮き上がる。
「ハイ・ヴォルテージ」
第7部までの主人公とそのライバルたちの「最高潮のバトルシーン」を展示。胸が熱くなったあのシーン、このシーン……それぞれの思い出を呼び起こしてくれる。
映像展示 AURA〈アウラ〉
ビジュアルデザインスタジオ・WOWとのコラボレーションで生まれた映像展示。スタンド誕生の瞬間がアーティスティックに描かれる。波紋もスタンド(幽波紋)も、「生命の源泉」を根源として誕生したという仮説から生まれた作品。
「ジョジョリロン」
作品の斬新な発想や手法、印象的なポージングなどはどうやって生み出されているのか。荒木さんの創作の秘密に迫る部屋。今回の新作原画のデッサンも。
チケットは完全日時指定制、売り切れ次第終了となっている。見逃さないようにしっかりとチェックをッ!