言葉が色を導き、色が言葉を招く。今年亡くなった詩人・石牟礼道子と染織家・志村ふくみは、現代日本に危機感を抱き、新作能「沖宮(おきのみや)」に次代へのメッセージをこめた。『新作能「沖宮」イメージブック 魂の花 緋(ひ)の舟にのせて』(求龍堂・4104円)では感性のみずみずしい交流の軌跡が、文章と石内都の写真でつづられる。
「沖宮」は「島原の乱」を起こしたキリシタン天草四郎を題材とする。四郎の霊は、雨乞いの人柱に供される“妹”あやを海底に伴う。金剛流が10、11月に京都、東京などで上演。2人の手、草花、海、十字架、志村の染めた海を連想させる水縹(みはなだ)色、能であやがまとう装束の緋色……。写真が四郎の世界に誘ううち、能の原作も含め2人の文章は音を発し、いつしか石牟礼が緋色の装束を着ているかのように思われてくる。
メッセージは何か。災害、公害、圧政で敗れた者の悲しみか。死の哀歌か。自然・生命界の精妙な気配をとらえる感性は、哀歌にすらほの温かな魂の火を一点添える――そんな声も聞こえてくる。(米原範彦)=朝日新聞2018年10月6日掲載
編集部一押し!
-
季節の地図 こうも読める 柴崎友香 柴崎友香
-
-
鴻巣友季子の文学潮流 鴻巣友季子の文学潮流(第39回) 「推し」と宗教、そして町屋良平「IDOL」という傑作の誕生 鴻巣友季子
-
-
わたしの大切な本 アイドルグループ「WHITE SCORPION」NATSUさんの大切な本 悩みと向き合い 探し出せた虹
-
小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。 【特別版】阿刀田高さん もう小説を書かないと決めたのは狐が落ちたから。「憑かれた48年間、楽しかったねえ」小説家になりたい人が、小説家を終える人に聞いてみた。 清繭子
-
一穂ミチの日々漫画 田島列島「みちかとまり」(第13回) わくわくしてそら恐ろしくて、底知れない 一穂ミチ
-
インタビュー 槇村さとるさん「ダンシング・ゼネレーション senior」インタビュー 素敵な人じゃなくて、生身の人を描く「少女」マンガ 横井周子
-
トピック 【PR 光文社・創英社・みすず書房・ミネルヴァ書房】プレゼント 朝日新聞1面広告の本、好書好日メルマガ読者計20名様に
-
コラム 「海をわたる言葉 翻訳家ふたりの往復書簡」中江有里さん書評 出逢いの不思議が生んだもう一つの〝家族〟 PR by 集英社
-
トピック 【プレゼント】柄谷行人さん最新作「私の謎 柄谷行人回想録」好書好日メルマガ読者10名様に PR by 講談社
-
インタビュー 平石さなぎさん「ギアをあげて、風を鳴らして」インタビュー 描いてわかった「シスターフッド小説」の魅力 PR by 集英社
-
インタビュー 江國香織さん「外の世界の話を聞かせて」インタビュー 頭の風通し良く、気持ちさっぱり自由になって PR by 集英社
-
インタビュー 【サイン入り本プレゼント】一木けいさん「嵐の中で踊れ」インタビュー 避難所で起きた再生の群像劇 PR by NHK出版