前回(11月10日付)は俳句ネタの作品を紹介したが、今回は小説だ。とある地方大学の文藝学科に進学した主人公が、レトロな女子寮に入るところから物語は始まる。
先輩いわく、大学には多くの文芸サークルがある。文芸研究部、文芸活動部、文芸女子部、元祖文芸部のほか、ジャンル別で幻想文芸研究部、SF研究部、ハードSF研究部、ミステリ研究部、本格ミステリ研究部、怪奇文芸研究部などがあると聞けば、その時点で面倒くさそうな匂いがプンプン。SF研とミス研の先輩2人が主人公を自分のジャンルに引きずり込もうとするトラップにも苦笑する。
そんな文芸オタクが集う大学の名物行事が「文藝ハッカソン」。5人のチームで5万字の小説を24時間で書き、出来を競う。小手調べとして3時間で1200字書くことになった主人公の悪戦苦闘ぶりをタイマー表示付きで追い、できた作品をマンガ形式で見せる手法はユニークだ。
先輩たちの話についていけない主人公の焦りは、創作の場面に限らず誰しも身に覚えあるものだろう。作中の物語構造解説、実在の作品名登場もお楽しみポイント。絵柄のクセも含めて、画面全体から挑戦する意志を感じる。=朝日新聞2018年12月1日掲載
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